那須のみね峰を源とし、東に八溝の山並みを望みながら遠く常陸の海に注ぐ延長150キロにも及ぶ大河「那珂川」は、関東随一の天然遡上のある川です。
四国の四万十川にも匹敵する日本有数の清流と称され広くその名を知られるところです。
その昔、会津の米は塩原尾頭の峠を超え黒羽の河岸から舟に乗り水戸領まで運ばれ当事は文化に商業にとこの川に関わってきたふるい歴史があります。
又、この川からの恵みは現在においても漁業にはおよばず農業、林業とそこに暮らす人々に大きく寄与し、まさに母なる川と呼ぶに相応しい大自然からの贈り物なのです。
しかし、ここ近年川の水質の悪化が目立ちそこに棲む魚や水鳥たちの生態系さえも脅かされている現実があることも見逃せないものがあります。
山の木の伐採による保水力の無さ,とどまる事の無い河川改修、生活雑排水、産廃の不法投棄等々列挙にいとまがない程多くの問題を抱えこれからどうあるべきか、今、問われています。
又、それらひとつひとつの問題に必ず現代の人間の手が加えられているのに驚きと、あまりにも無関心で居られる我々人間の身勝手さがこの豊かな自然を壊している張本人と腹立ちさえ感じます。
昔、アユ達が争ってノロを喰む習性をみて(アユの友釣り)を思いついたとか?
古代より延々と繰り広げられたであろう聖なるも、悲しい、壮絶なアユ達の営みは現代の我々にも似た厳しいものがあります。
関東随一の天然遡上のある川と云われて久しいこの川にも、春、水ぬるむころになるとどこに潜んでいたであろうそのパワーで只、ひたすら上流を目指すこの小さきアユ達に思わず拍手を送らずには居られませんでした。
そして、これから始まるであろう人間達との熱き戦いは物語の序曲(プロローグ)と郷愁の想いを馳せるのは私だけでしょうか。